■4「東京モーターショー」
東京モーターショーで、各企業・大学の展示ブースを見た時もっとも印象に残ったのは、慶応大学が環境貢献を大きくPRしている電気自動車「エリーカ」のブースでした(写真参照)。この展示は群を抜いていると思います。その理由は日本最大の展示会「東京モーターショー」に過去も含め2度展示しているからです。 「東京モーターショー」は“おばけイベント”で、世界中の自動車業界VIPの来場だけでなく、自動車関連企業から専門家がたくさん集まります。「環境展が日本を代表するビックイベントに成長してきた!」と言われていますが、それでも期間中の来場者は最大でも15万人レベルです。東京モーターショーは140〜150万人と一桁違うレベルです。その超ビックイベントの中で、慶応大学だけが専用ブースを設けて電気自動車を展示しているのです。研究テーマ(電気自動車)と慶応大学のブランド力が相乗して大人気でした。30社の協賛企業の力も大変大きいと思います。余談ですが、慶応大学環境情報学部の女子学生が専用のコンパニオン制服を着てずらりと並べ、別の意味でPR効果抜群です。
■5「慶応大学産学協同研究」
この慶応大学の電気自動車「エリーカ」の産学協同研究のスタイルは、他大学と違うところがあります。基本形態は「大学+民間企業」で特徴はないのですが、大学の研究代表が2名いることが大きな特徴です。それは、ハード中心の「技術担当教授」と、ソフト中心の「民間企業に長く勤めた文系教授」(民間企業との橋渡しや電気自動車のビジネス性を研究する)で推進しています。このスタイルは大変な威力を発揮する!と言われてました。なぜか?それは私自身が製造業勤務だからよく分かるのです。“物作り”には、開発・製造・販売の各分野の叡智結集しなければ商品化は難しいです(単なる技術研究やデザイン研究だけなら必要なし)。慶応大学の開発研究形態は、うまくポイントを踏まえた方式です。ちなみに、90年代アメリカのシリコンバレーで起こった「大ITブーム=大成功」も、優秀なエンジニアのアイデアに、経営の専門家や投資家が参入して推進したので大成功しました。“この方式”は定番化されています。
■6「最近の傾向」
話題の多かった産学協同研究も一定の時間が経過し、変化の兆しが出てきました。展示会などで各企業担当者と話しあってみると、ブームとしての産学協同研究は終わり、企業側が明快な結果を求めるようになりました。別の言い方すれば、結果の出せない大学との産学協同研究は求めない姿です。この民間企業の傾向をどう評価するか!は別にして現実の姿のようです。
最新のNUDN(2005・12・30)に掲載されているように、「デザイン系大学ランキング」における日芸工業デザイン科の成績は大変すばらしいものがあります。清水教授・肥田教授などの教授陣の大健闘、学生のコンペ受賞・展示会出展・産学協同研究の大成功・・・・・・など日頃の関係者の努力の結果です。OBとして大変うれしく思っています。
■7「今後の提案」
私なりに過去1年の活動の結果として、日芸工業デザイン科の更なる大発展をめざした一つの提案をしたいと思います。それは、工業デザイン科単独の共同研究方式(ロボットデザインを中心大きな実績を出している)とは別に、「オール日大の力を結集したプロジェクト」を日大本部に働きかけることです。
テーマはいろいろ考えられますが、日大が伝統的に乗物系に強いので自動車を薦めます。具体的には「ソーラー乗用車の産学協同研究」です。理由は、外部からエネルギー供給が必要な電気自動車に対し、エネルギーの自己完結型であるソーラー乗用車が総合的に良いと判断しました。もちろん環境にも大変良いです。理工学部と工業デザイン科を中心に経営学科など総合大学日大の良さを最大限に生かすシステムです。産学協同研究ですから、外部企業も必要です。また、OBもボランティアで積極的に応援するスタイルです。